CADの漫画感

人に勧めたい漫画、気になった漫画を語ります

創世のタイガ(森恒二):遅れてやって来た本格派なろう系タイムスリップ物語

講談社のイブニングで連載中の森恒二さん作「創世のタイガ」が面白かったので感想を書きます。

あらすじですが、主人公のタイガ含む大学の文化人類学ゼミのメンバーが、卒業旅行で行ったオーストラリアの洞窟から、古代(平たく言うと原始時代)にタイムスリップしてしまう。

そしてそこで生き残るため、現代の知識や各自の得意分野の技術を生かして、サバイバルをしたり原住民との交流、争いに巻き込まれていく・・・というものなんですが、この感じ、完全になろう系やんけ!と僕は最初に思いました。

 

ただのなろう系ではない、一味違う人間描写

少し前から(少しか?)流行っていて今では飽和状態のなろう系創作、基本的には異世界に転生して現代の知識や技術、もしくは"ぼくのかんがえたさいきょうののうりょく"で無双するというものが多いですね。

この漫画も異世界転生かタイムスリップかの違いはあるものの基本的には同じ分類になると思います。

なろう系が流行りだしたのは2008年頃のようなので、2017年開始のこの作品をなろう系と定義するなら大分後発ということになります。

 

ただ、よくあるなろう系と違うこの漫画の特徴は、登場人物たちの感情や行動の真剣味、リアルさの描写が非常にうまく説得力があるというところです。

(なろう系に精通しているというわけではないのでそういう作品があったら申し訳ない)

タイムスリップした直後の驚きや戸惑い、いるはずのない大型の動物を見て命の危険を身近に感じた恐怖や絶望感など、登場人物の心の動きにフォーカスを当てることで、スリリングなストーリー展開をさらにドキドキするものに仕上げています。

この感情表現のうまさはこの作者の特徴でもあり、私が以前読んだ「ホーリーランド」でもドキドキする展開でどんどん読み進めていけましたし、未読ですが「自殺島」でも同様にこのへんの描写のうまさが活かされているみたいです。

 

なろう系らしい良さ

一方でなろう系特有といえる描写も多く、メンバーそれぞれの得意分野であるアウトドアや古生物知識などを活かして食料や寝床を確保したり、原住民との交流で現代の道具を披露して驚かせたり、格闘術で体格差のある相手に奮闘するなど、あー!そうそうこれこれ!っていう感じになります笑

なお格闘術を使用する場面は、そこまでの話では敵対する原住民と槍などで殺し合いの戦いをしたりしているのに、うまく展開を持って行くことで作者得意のタイマンステゴロバトルを始めるという流れには笑いました(バトル自体はめっちゃ熱い戦い)。

 

先が気になる本格的なストーリー展開

ここまでなろう系ベースでばかり感想を書きましたが、普通の漫画として見てもとても面白いです。

肉食獣や原住民との生死をかけた戦い、タイガたちが何のためにタイムスリップしてきたのか、巨大なマンモスにどう対処していくのか、原住民の女の子とどうなっていくのか、といったハラハラドキドキ、先が気になる展開で本格的なストーリー漫画としても楽しめるのは間違いないです。

 

今だと、講談社のwebサイト「コミックDAYS」で創世のタイガが毎週配信されています。

月額960円でイブニングや、週刊少年マガジンアフタヌーン、モーニングなど全13誌の最新刊が読めますので、上記の雑誌のいくつかを毎週、毎月個別に買っている人なら断然安く済むのでとてもおすすめです(紙媒体がいい人は別ですが)。

comic-days.com

ただweb版の週刊少年マガジンには「はじめの一歩」が載っていないのでご注意ください。マジで許せねえよなあ・・・!!